GOD BLADE 第二十七話〜地下に眠るもの〜

ここは外からは考えられないくらい寒い
そして何より暗い
倉庫に置いてあった古い手持ちランプだけじゃ視界をちゃんと確保できない
レイドとゴウ、そしてロイは倉庫の床に隠してあった地下階段を偶然見つけ、
ゴウが武器を選んだ後、三人で探索を始めたのだった
ゴウが選んだのはハンドガンタイプの使いやすいやつだ
すでに重い武器を持っているゴウにとってはちょうどいいな

「明らかにここ数日以内に誰か通った跡がある・・・」

ゴウが放った言葉は螺旋状の狭い階段を響きまわり、暗闇に消えていった
それに気味も悪いぜ。古めかしいつくりしやがって

「床が見える。降下作業は終わりだ」

先頭に立っていたレイドは、
床に達すると後ろの二人に向こう側を見せるかのように脇へどいた
そこはぽつぽつと白い明かりが灯っているだけの、広い空間だった
床から天井まですべてコンクリートで出来ている
壁や床には何かがこすれたような跡がある

「鉄のにおいだ・・・油のにおいもする」

レイドが鼻を利かせた
ロイは心なしかおびえているようだった
両手に抱えたアサルトライフルが標的もなく闇に向けられている
今この三人の中で一番重装備なのはロイだが、
戦闘経験からすると一番腕が立つのはレイドだ

「ロイ、閃光弾は持ってるか?」

「あります。三個持ってきました」

「よし、こっちにも二個ある」

この暗闇において、閃光榴弾は大きな効果をもたらす
もっとも、それは自分たちにおいても例外ではないが

「ゴウはロイと一緒に後ろにつけ。ロイは主に背後のクリアリングだ
 ゴウはそれをサポートしてくれ」

「分かりました」

「分かった」

気持ちが悪いほど無音なこの空間において、
この三人の声は大きすぎるようにも感じられた
レイドはうなずくと前進を始めた
レイドを先頭に三角形の形で進む
先頭は腰を低めてサブマシンガンを前方に向けている
ロイとゴウは後ろを向いたまま左右に銃口を泳がせる

「とまれ」

レイドが片手を挙げて止まるように合図した
その表情はかすかな何かを読み取ろうとしている

「機械音がする・・・遠くはないが壁にはさまれてるな」

確かにわずかながらそれらしい音がする
まったく変わりなく続くこの奇妙な人工洞窟ももうすぐ終わりということだ

「こいつぁ工場かどっかへつながってるな・・・?」

レイドはもう一度手を挙げて、それを前方に向けて歩き出した
少しペースが上がっている
嫌な予感がする・・・
洞窟の壁に到着した
広い壁の中央にはドアが一つついているだけだ
セキュリティはないようだ

「待ってろ、調べてくる」

レイドは小走りでドアへ向かい、息を潜めて耳を当てた
冷たい金属のドアからは人の声がしてくる
一人・・・だな

「いいか、武装はあくまで最終手段のためにしてきただけだ
 相手が何をしてくるかは分からんが、今のところ正義は向こうにあるからな」

二人はうなずいた
レイドもうなずくと、そっとドアノブをまわした
ドアは音もなく開き、機械だらけの部屋をあらわにした
ここもあまり明るいとはいえないが、洞窟よりは視界がいい
部屋に所狭しと置かれた機械の大半は動いていない
ほとんど変圧器に見えるが・・・
迷路のようになった機械の間を抜けていくと、かなり開けた場所に出た
こりゃぁ・・・

「これって・・・」

ロイが驚きを隠せない声で言った
そこにあったものは明らかに夢の世界でしか見たことがないものだった
巨大・・・ロボット・・・!?
十メートル近くある天井に触れんばかりの高さがあるロボットだった
丸を貴重としたボディに巨大な長いアームが二本ついている
推進力はキャタピラのようだが、ここからはよく見えない
そしてその幻想の前には、白衣を着た男がたたずんでいる
怪しい・・・立ち回りだ

「おい、そこの科学者モドキ」

レイドが声をあげた
どうやら一目見た地点で良識人には見えなかったらしい

「なんだと・・・? 私は科学者だよぉ!?」

当たりだな。こいつぁ正常じゃない
元からこの手のサイエンティストはまともなのがいないって定義があるくらいだしな
白衣の男は両腕を広げてこちらを振り向いた
今のところレイドしか気付かれていない

「君、どうやってここに来たんだい? まぁいい、見なよ、すごいだろう?」

白衣の男はにやけた顔でさび色に塗装されたロボを見上げた
レイドは銃を構えて慎重に近づく

「数日前にこの近くで発掘されたんだ・・・すばらしぃねぇ」

「発掘? このロボがか?」

「そうだ! これは古代人の技術の塊だ!」

ライが反応した

『レイド・・・コノキカイ、テレパシーヲモッテイルゾ』

「は?」

『ワレワレノモノヨリモニンゲンニチカイノウハヲツカウヨウダ・・・』

「まじかよ・・・」

科学者が弱々しい笑い声を漏らした
白衣の男は明らかに衰弱している
最後に寝たのはいつなんだろうか?

「この夢の機械が・・・ついに動くのだ・・・!」

「なんだって!? 馬鹿なことはやめろ! 真上には怪我人が・・・」

レイドは銃口を向けたが、科学者はもう何も聞こえていなかった

「さぁ・・・永き眠りから目覚めるんだ・・・! 古代戦神の一体!
 爆をつかさどるものよ!!」

白衣の男が叫び、端末の赤いスイッチをたたいた
ロボにつながれた太いコードが次々にパージされ、それは動き出した
なんてこった・・・手に負えねぇぞ! この化け物は!!
発掘された鉄人は、永い眠りから解き放たれ、自由を手にした



第二十八話へ続く・・・・・