レイドは目を覚まさない相棒をぼんやりと見つめていた
もう二日が経つ
ここまで来ると、原因は疲労だけじゃないのは誰でも分かる
起きろよ、ゴウ。お前がいなきゃ何も始まらないんだよ
彼は真っ暗闇で目を覚ました
目を覚ました実感がない
真の闇の中、頼りになるのは聴覚と触覚だけだ
とりあえず前に手を伸ばす
手の輪郭が見えたかと思った瞬間、白く強い光が周囲を包んだ
なぜかまぶしくない、暖かい光だった
『聞こえますか?』
やさしく声が響いた
不思議な、聞き覚えのあるような声だった
「誰だ?」
『やはり・・・噂は本当だったのですね・・・』
「何の話だ? お前は誰なんだ?」
相手は姿を見せない
声は四方から響いてくるようで、場所が特定できない
おかしい・・・夢にしては意識がはっきりしている
『いつか、あなたにも分かります・・・いつか・・・』
声は徐々に遠ざかっていき、それにあわせて光も弱まっていった
「待て! 俺は・・・」
再び目覚めたとき、目に入ったのはヒビだらけの天井だった
もう何がなんだか・・・
「あ! ゴウさん!」
壁の穴から射す日光がまぶしい
ロイが眠っていた間の世話をしていてくれたらしい
「むぅ・・・世話をかけたな」
「まだだるいですか? どうせならまだ休んでていいですよ?」
「いや、いい。レイドはどこに?」
「レイドさんならさっきまでいましたけど、今はたぶん倉庫です」
倉庫か。さしずめ武器でも眺めてるんだろう
「ありがとう。おかげでもう十分動ける」
ロイは照れくさそうに頭をかいた
そして改めて、ここは暖かい場所だと感じた
二人は真っ暗な倉庫の中で小さなオレンジのライトを点けて武器を眺めていた
「なんだこりゃ? 見たことねえ型だな」
「そいつぁもう現役引退したやつだからな、お前ぐらいの歳じゃ知らなくてもおかしくない」
「ほほぅ、未カスタムか。結構レア物なんじゃないか?」
「そうかも知れんな。まぁ、使い物にはならんな」
「このぐらいなら俺がちょちょいと・・・」
暗闇に会話が響く中、倉庫の巨大な扉が驚くくらい大きな音を立てて開いた
二人にとっては直視できない光が倉庫の半分を照らす
「・・・手入れがなってないな」
まぶしい日の光のほうからはゴウの声がした
「ゴウ! もう大丈夫なのか?」
「おかげさまでな」
「おお、無事でよかったぞ。この間の借りが返せなくなったら困るしな」
クロウドは豪快な笑い声を上げた
そこでゴウはあることを思い出した
「そういえば、聞き覚えのある名前だと思ってはいたが、
お前、十年位前になんかの大会に出てただろう?」
「ん? そういえば・・・」
「十年前って・・・あ!!」
「レイドって・・・あんときのガキか!!」
「一回戦のゴリアテ野郎か!」
「ゴリアテって・・・」
俺がレイドと出会う数日前に開かれた大会で、
六歳ぐらいだったレイドと巨人が第一回戦で戦い、
そのままレイドが優勝したという噂は、当時町中で騒がれていた
「なっつかしーなー」
「俺はあの試合のせいでもうリングには立てなくなっちまったよ」
「そいつは悪かったな」
「まぁ、そのおかげでこうして色んな仲間に会えたわけなんだが」
ゴウが話題を変えた
「この倉庫には使われていない武器もあるのか?」
「あぁ、山のようにある」
「ありすぎてもったいないぜ」
「ならいくつか貰えないだろうか?」
「別にかまわんぞ。もともと放置されてた倉庫だったしな」
「よし、なら俺が品定めしてやるぜ」
レイドは張り切っていくつか武器をつかみ、広場へと走っていった
「レイドっていつもああゆうやつなのか?」
「ああ、武器の話になるといつもアレだ」
「ハッハッ、若いのはいいねぇ」
「お前には若者にはないパワーがあるが」
「面白い事言うな。気に入ったぞ、ゴウ」
友人がつい数日前に死んだというのにこの男はよく笑う
それはこの男が腐っているからではない
前線をいくつも経験したからだ
ゴウはこの男と一緒にいることが安心なのか、不安なのか、
よく分からなかった
第二十七話へ続く・・・・・