GOD BLADE 第二十五話〜授かりし物〜

「ラークラムって・・・俺の親族・・・?」

彼女は静かにうなずいた

「私はあなたの母です」

「母って・・・せめて姉貴かと思ってたぞ」

実際シリアはとても若く見える
どうみても二十代後半くらいだ

「よく言われます。私は今年で38なのですが・・・」

「とてもそうは見えませんね・・・」

一度に襲ってくるたくさんの大きな事実のせいで少しばかり頭が混乱する
ここんとここればっかりだ
突然命を狙われ、突然力に目覚め、突然生き別れの家族に出会った
この全ての「突然」はみな一年、いや、一ヶ月以内に起こったことだ

「驚愕の事実、だろ?」

背後から軽い口調で声をかけたのはディンだった

「隠してて悪かったな。だがこれは自己解決が一番だと思ってな」

「何が解決したんだかよくわからんのだが」

「まぁそう言うな。せっかく母親に会えたんだ。ゆっくり話しでもしたらどうだ?」

その意見はもっともだった
なぜ生き別れになったのか
なぜあの場所にいたのか
なぜ命を狙われたのか
親父は生きているのか
疑問は絶えない

「聞きたいことも多いしな、とりあえず入ろうぜ」

レイドとシリアは仮設住宅へと入っていき、
後の二人はそれぞれの持ち場に戻った


「早速聞くが、親父もお袋も姿をくらましてたのはなぜだ?」

「私たちコードの民族は、太古より何らかの力を授かって生まれてくる種族です
 あなたも、私も同じです。そして、その力を恐れた他の種族の人間が手を組み、
 コードの民族は次々と殺されていきました・・・」

今の世界から見るとにわかには信じがたい話だ
だが最近の俺の周辺状態から考えれば信じざるを得ない

「私は、あなたの父と一緒にあの遺跡にずっと隠れていました
 あの遺跡はもうほとんど掃討済みで、人もいなくなっていたので隠れるのにはよかったのです
 しかし、それも長くは続かず、生まれたばかりのあなたを守るためにも遺跡を出たのです」

「生まれたばかり・・・って言うと、もう十六年位前ってことか」

「はい。そして、偶然逃げ込んだ洞窟が彼、ディンの隠れ場所だったのです
 さらにそこに追ってまでやってきて、やむを得ずあなたをディンにたくし、私たちは囮となって逃げました・・・」

「囮って・・・どうやって逃げ切れたんだ?」

「私の持つ力は不安定で役に立ちませんでしたが、ガラドの力は私たちをなんとか守ってくれました
 それでも追っ手は強く、ガラドは私を逃がして・・・」

「殺されたのか・・・?」

「いえ、わかりません。さらわれたかもしれません
 でも殺された可能性もあります」

ガラドとは俺の親父の名前だ
ディンのおっさんが親父のことをたまに話してくれた
親父とはよく競い合った仲らしい

「で、力ってのがよくわからないんだが・・・」

シリアの声はか細く、力もあまりなかった

「コードはかつて神に仕えた種族といわれています
 神に仕えるものとして与えられる力、それが私たちコード民族の特徴です
 力はさまざまですが、男性は戦いに、女性は保護や回復に特化した力が与えられることが多いのです
 それが現れるまでに何年かかるかも、その強さも人それぞれです
 その中でも特に大きな力とされるものが、神の刃、“ゴッドブレード”と呼ばれています」

ようやく話が見えてきたような気がする

「力は遺伝するのか?」

「普通はしません。でも、ゴッドブレードに限っては血統で受け継がれます」

「・・・つまり、親父はゴッドブレードを受け継ぐものだったんだな?」

「あなたも力に目覚めましたか・・・では、貴方の肩にいる小さな生き物は神の代行者ですね?」

「ん? ライ? そうなのか?」

(・・・ソウダ。ワレハカミノダイコウシャ。ナガクヒキツガレルチカラヲマモルモノダ)

まったく、コードの人間てのは物知りだな・・・
第一、神っているもんなのか?
そこが疑わしいが、現に俺の右肩には超能力を使う小動物がいる

「その子があなたの元にいるということは、あなたの父は生きています」

「そうか・・・おかしいよな、親が生きてたってのにあまりうれしくねえや」

「仕方がありません。あなたをおいて出て行ったのは私たちなんですから
 それに、ガラドがどういう形で生きているかもわかりません
 敵の兵器と化しているかもしれません」

「もしそうだったら愛を込めて葬ってやらねえとな」

「おそらく、あの人もそう望むでしょう。実の子の命を奪うくらいなら・・・」

しばらくの間沈黙が続いた
お袋もなんか弱ってるし・・・あまり質問攻めにするのも・・・
だがひとつだけ気になる

「お袋は多重人格か? あの殺人鬼みたいな顔は何だ?」

「・・・・・・あれが、私が授かった力なのです」

「あれが? 神もチンケないたずらしやがる」

「私は人の死を間近で見たり、血を見たりするとああなってしまうのです
 そうなると、私は周囲の人間まで殺しかねません・・・
 あの時、青髪の子があなたの名を呼んでいなければあなたも殺してしまうところでした
 ・・・あの青髪の子は?」

「あいつは十年くらい俺と一緒に生活してきた兄弟みたいなもんだ
 名前はゴウ・マグナイツ。なかなか頼りになるぜ?」

「そうですか・・・よかったです。あなたが一人でいると思うといつもつらくて・・・」

「ハハ、それならおっさんにきっちりしごかれたから大丈夫だ」

彼女はレイドに出会ってからはじめて笑った

「ふふ、彼らしい」

「お袋、疲れてるんじゃねえのか? しばらく休んでろよ」

「はい・・・そうします」

そういうと倒れるように寝てしまった
親父・・・どんな人なんだろうか
その答えを見つけるのはまた今度だ
今はゴウの安否が気になる
そればかりだった



第二十六話へ続く・・・・・