GOD BLADE 第二十二話〜誘惑と死の追跡〜

「僕はロイといいます
 このあたりはよく人が遭難するんですよ
 そんな人たちを発見して保護するのが僕の仕事です」

「ふぇ〜?」

どうやら俺たちは遭難したようだ

「でも・・・最近は先ほどみたいな過激な盗賊が多くて、
 武装する必要まで出てきました」

「盗賊?にしちゃやりすぎだろ」

「確かに、いくら過激といえど、
 あんな爆発物まで利用してくるというのは・・・」

「あ、ここが村です」

ロイが指さしたのは、小さな土造りの建物の集落だった
立派な石の外壁に囲まれ、門の付近には見張りがひとりいる
人気は多くないが活気は多少見られる

「実は、この間の戦闘で怪我をした人がいて困ってるんですが・・・」

少年は古びた柵を押し開けながらため息をついた
また怪我人か

「もう今日は夜遅いのでどこか空いてるところで休んでください」

「その怪我人というのは?」

ゴウがたずねた
幸い医療品一式は無事だ

「わき腹に弾を受けてしまって、身動きが難しい状態なんです」

「よし、今からそこへいこう」

「え、でも・・・」

「最近寝なくても平気のようでな
 それに怪我人を放っておいてはよく眠れん」

自分にできることをあえてしないでいるというのは実に気分が悪い

「んじゃ俺は先寝るわ
 お大事に〜」

「俺に言ってどうする」

レイドとディンはほぼ同時にあくびをすると、
すでに眠りかけている女性を連れて空き家を探しに行った

「お前は寝なくてもいいのか?」

「僕は夜が当番なんで眠いのは昼間です」

ロイは少し照れくさそうに答えた
こんな子供の生活リズムを完全に乱すこの世の中が少しいやになった


今日の夜の門番は元傭兵のミルだった
青年、ミルヒ・ワイガーは正直この仕事に飽きていた
人のために働くのは嫌いじゃないが、こうも女に会えないと気が萎える
ついさっき入ってきたやつらの中には女がいたようだが、よく見てなかった
せめて門番らしいことをしたいもんだぜ
本来門番はあのムキムキ野郎がやるはずなんだが、負傷してちゃなぁ・・・
アサルトライフルを掛けた肩を痛そうに揉んでいると、砂煙の中に人影が見えた
ありゃ・・・なんだ?
よく目を凝らすと、それは女性だった
大きな長い荷物を肩に担いでいる

「なんだ、お嬢さん。ずいぶんと重そうだな」

「ん〜、そうでもないよ?」

女性の声は気が抜けていた
彼は心の中で口笛を吹くと、一気に気分が高揚していくのを感じた

「なんだい? 遭難したのならここは大当たりだぜ」

「ん〜そうみたいだね〜・・・確かにここにいる・・・!」

「ん? なんか言ったか・・・・」

荷物の入っている袋が取り除かれ、そこから姿を現したものが何なのか、
理解する前に彼はすべてを失った


石造りの家の壁は、黄色味を帯びた照明をよく反射する
部屋にいくつか並んだベッドの一つに怪我人はいた

「これで明日には動けるはずだ」

「おお! すまねえなあんちゃん!」

怪我人、クロウドという男は大男の名にふさわしかった
三メートル近い身長を持ち、二重の筋肉を持っているような体つきをしている
・・・こんな男でも油断すれば簡単に命をとられる

「助かりました! これでみんな安心して眠れます」

「俺はもともとこの時間の門番をしているんだ
 だが今はチャラチャラしたやつが門を守ってる
 みんな不安でならねえのさ」

「冗談抜きで不安でしたよ。彼には悪いですが」

「いろいろと大変なんだな、ここは・・・」

突然悪寒を感じ、次の瞬間に何かが堅い物を引っかくような鋭い音がした
門のほうだ!

「行きましょう!」

ロイはすでに走っていた
ゴウも剣を片手に走る
レイドは恐らく起きないだろう
くそっ、こんなときにさっきの武装集団にでも襲われたら・・・

門にたどり着いた
内側からは異常は見られない
まさか・・・門番が!?

「ミルさん!返事をしてくだ・・・」

何かが壁飛び越え飛翔し、ロイをめがけて急降下してきた
並みの跳躍じゃない!
すかさず剣を抜き、ロイを守る
重い一撃が両腕に強い衝撃を与えた

「ぐっ・・・!」

「やっぱりいたわねぇ?」

「ミルさん! 返事を! ミルさん!!」

ロイが必死に叫ぶ
その声にこたえるように女が不敵に微笑む

「ミルってあの男の人? それなら邪魔だから始末しちゃったよ〜?」

「!!」

「ぬああああ!」

無駄だとは思いながらも剣を振りつける
女はひらりと身をかわし、巨大な槍をこちらに向けた
女は特に武装しているわけでもなく、いかにも動きやすそうな服装をしている

「タイムリミットまでは長いしね、楽しんでいくよ〜?」

ゴウは悟った
強い悪寒の正体は、この女そのものであると



第二十三話へ続く・・・・・