GOD BLADE 第十八話〜更なる敵〜

外の嵐がおさまるまでは大体後十分ぐらいだろう
何とか洞窟まで逃げ込んだ二人は、
暗くて何も見えない洞窟の中でただ待ち続けていた
赤外線スコープは持ってきていない
基本的には昼間の活動の予定だったのだが、
クソッ、砂嵐を考慮に入れていなかったのは致命的だ

「お?スコープ一個持ってきちまった。
 まあ運がよかったってことにしとこうか」

突然レイドが話しかけてきたのでいささかびっくりしてしまった
だがスコープがあれば多少は安全だろう・・・・・
そのとき、何かが動くのを感じた
洞窟の奥・・・誰かいるのか・・・それとも何かの動物か・・・

「なんかいるな・・・・」

「ああ、気をつけたほうがいいかもしれん」

少しずつ近づいているようだ
引きずるような音が大きくなってきている
・・・とてもゆっくりと
突然音が止み、疲れきった透き通るような声が響いてきた

「誰? 誰かいるのですか?」

女性の声だ。同じように嵐から逃れてきたのかもしれない
それに悪意は無いようだ
・・・なぜかそんな気がする
今までゴウの勘が外れたことはほとんど無かった
理由はわからないが、今はどうでもいい

「スコープを貸してくれ」

「ほいよ」

レイドに手渡されたスコープを覗き込むと、
その女性は怪我をしているようだった
薄汚れた白基調の衣服に身をまとっている
二十代半ばの女性に見える
いや、もっとあるかもしれんが顔は若々しい
ゴウは女性に駆け寄った

「大丈夫ですか
 私たちは砂嵐が止むのを待つために駆け込んだのですが・・・」

なるべくやさしく接する
下手に近づくと何をされるかわからん
初めは誰もを疑うのが得策だ・・・

「ちょっと追われていて・・・・
 あわてていたので怪我をしてしまってここに隠れているんです」

どうやら嘘ではないらしい
それに俺は人を見殺しにするタイプではない

「また“追われてる”か・・・」

「見せてください。応急の医療道具はあります
 あまり放っておくと重症になるかもしれません」

彼女も真の厚意だと見て取ったのか、
素直に怪我を見せてくれた
左足に出血・・・
血はそれほど出ていないが、こんな砂漠地帯で傷口をさらしておくのは危険だ
まず水筒の水で傷口を洗うと、特製の液体治療薬をガーゼにしみこませ、やさしく当てた
少し声を上げたが、それほどひどい痛みは無いらしい
すばやく包帯で巻くと、端を縛って留めた

「ありがとうございます・・・
 気をつけてください。まだ『やつら』は近くにいるかもしれません」

女性に少しの間安静にするように告げた瞬間、
空気が流れを変えた

「二人とも・・・目ェ閉じとけ・・・」

「目をつむっていて下さい」

レイドの指示にはなるべく従ったほうがいい
特にこんな口調になった場合は・・・
何かが入り口近くでカランと音をたてたかと思った瞬間
暗闇がまばゆい閃光に包まれた



「ファラドン、うまく行ったか」

「バッチリだ。一番手前のヤツの目の前で炸裂した」

これならいくら『適応者』でも怯むに違いない
だが油断は禁物だ。俺がこのマグナムライフルで止めをさすまでは・・・・

「砂塵が止み次第撃ちぬけ」

「りょーかい、ガル隊長」

やっとぶっ放せるぜ・・・
悪く思うなよ、仕事なんでね・・・!
ライフルの銃口は、レイド達の命を絶つべく、立ち上る砂塵へと向けられた



第十九話へ続く・・・・・