ゴウが去っていったあと、
レイドはしばらくユリアを安心させようと努力していたが、
今はもう必要なくなった
さて、後どれくらいまでここは安全か・・・・・
あんな化け物がまた襲ってきたら俺一人じゃユリアを守れない
ゴウがやられるはずはないが、戻ってくるまでに時間がかかるのは仕方ない
早く戻ってきてくれ・・・こんな所さっさとおさらばしたいぜ
そのとき、ユリアが何かを感じたらしく、ふと顔を上げた
「どうした?」
「音が・・・すぐ近くに・・・」
マジか!くそっ、対抗手段がないぞ
俺の破砕弾まで弾くような怪物が・・・・
困惑の波にとらわれていたとき、
その怪物が茂みから跳び出し、忌まわしいかぎ爪を振りかざしてきた
「チィッ!」
何も考えずに蹴りを食らわせる
とりあえず空中での衝撃への防御手段はないらしく、
そのままもとの茂みへと落ちていった
「レ・・・!」
ユリアの恐怖に満ちた声を聞き、振り返ると、
さっき蹴り飛ばしたのと同じ怪物がユリアに跳びかかって来ていた
二体目!?くそ、一体だけじゃないのか!
そこまで走りこみ、跳び蹴りを打ち込む
跳ばされた怪物が落ちていった茂みから再び別の忌まわしい姿が跳び出して来た
クソッ・・・・! 避けられない!
彼は目を閉じて、お守りとも言えよう、
腰のナイフに反射的に手を伸ばしたそのとき、ふと、意識を失った
助けたい・・・
でも足が動かない
もう、なんなのよ、この森は・・・
近くだったから意識してなかったけど
、
まさかこんな酷いことになってるなんて・・・
そのとき、レイドが危なくなっていることに初めて気づいた
あぁ、私のせいだ
私が行きたいなんて言ったから・・・
目を閉じた次の瞬間、まばゆい光が森の一部を照らし、
レイドの命を奪おうとしていた怪物を消し去った
レイドの手からは光が剣状に放出されていた
あれは・・・・
間違いない! あれが、おじいちゃんの言っていた・・・
ゴッドブレードだ・・・!
彼は直立不動で茂みを見据えていた
「・・・・・・」
なんだろう、いつものレイドと全然違う
特に・・・・顔が
顔つきはいつものレイドとは全然違う
無表情、スコープ越しでも分かるような
まるで別人だ
襲い掛かる怪物を片っ端から切り裂くその姿には、
焦りや不安は微塵も見られない
まるで心を失ったように
「・・・消えろ・・・・!」
彼はそうつぶやくと、
複数のモンスターに向かって衝撃波を放った
怪物は次々と蒸発していった
襲撃は収まり、レイドがその場に崩れ落ちた
気がつくと顔のすぐ横は土だった
体に力が入らない
何とか立てそうではあるが、とても戦える気力はない
ここで襲われたら・・・・・
そんな考えを振り払い、怪物がしばらく経っても襲ってこないことに気づき、
よろよろと立ち上がると、ユリアの安全を確認した
一体何が・・・
茂みが音を立てたと同時に、見覚えのある姿が現れた
「ご・・・・ゴウ・・!」
「無事か!?」
「なんと・・・か・・・・」
安堵で力が抜け、立つことができなくなった
「レイド!?」
「く・・・ちょっと・・・疲れただけ・・・だ・・」
そんな会話をしていた時、
片腕を失った化け物が執拗にも襲い掛かってきた
安息を分かち合うには場所が悪すぎた
なぜか怪我をしている怪物が襲ってくるまで、終わったと思い込んでしまっていた
「く・・・」
何とか襲撃を鞘に入れたままの大剣でガードした
「ユリア! ここは俺がやる! レイドを連れて逃げろ!!」
ユリアは返事をする間もなく、
レイドに肩を貸すと、森を走り抜けていった
「無事でいろよ・・・・」
口でそう言った事も気づかずに、必死に怪物から身を守り、
弾き飛ばしてすぐにユリアたちの後を追おうと背を向けたとき、
自らのおろかさに気づいた
まだ生きているのがいた
そのことに気づいたのは、自分の体を忌まわしいかぎ爪が貫いた後だった
強い痛みと複雑な感情の波にとらわれて、ゴウは暗闇に投げ込まれた
第十六話へ続く・・・・・